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新築住宅計画では、コンセントの配置を決める必要が生じます。
しかし「どこに配置すればいいの?」「数はいくつ必要?」など疑問を感じる方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事ではコンセントについて定めた「内線規程」を基に計画のコツをご紹介します。
具体的な注意点もまとめているので、新築計画の参考にしてみてください。
コラムのポイント
・新築住宅のコンセント計画のポイントが分かります!
・内線規程の内容をチェック!
内線規程とは
内線規程とは、電気工作物の設計、施工、維持、検査の技術的事項について定めた民間規格のことを指します。
省令として制定されている電気工作物の技術基準について、電気設備の保安確保・電気の安全な使用を促す目的があります。
住宅内のコンセントや充電設備と関連が深いため、新築住宅計画を行う場合には内容をチェックしておくのがおすすめです。
2022年の主な改訂内容|簡単に解説
内線規程は1924年に初版が出版されてから、時代の変化に合わせて適宜改訂が行われています。
ここでは、直近に行われた2022年改訂版の内容について詳しくご紹介します。
内線規定自体は約970ページもある膨大な内容ですが、ここでは主要な情報だけを簡単にピックアップしています。
新築でのコンセント計画をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
接地極付コンセントの義務化
接地極付コンセントとは、アースの付いているタイプのコンセントのことを指します。
電気を接地させることで、万が一の漏電時における感電や火災を防ぐ役割があるのです。
今回の改訂では、特定場所に施設するコンセントは「設置義務化」となりました。
具体的には、下記の場所が該当します。
- ①電気冷暖房機用
- ②電気冷蔵庫用
- ③電気食器洗い機用
- ④電子レンジ用
- ⑤電気洗濯機用
- ⑥電気衣類乾燥機用
- ⑦温水洗浄式便座用
- ⑧電気温水器用
- ⑨自動販売機用
屋外や水回り周辺では水気があるため、感電のリスクが高いことが問題視されていました。
接地極付コンセントが義務化されたことで、安全性の向上が期待されています。
電気自動車(EV)6kW充電設備の施設方法
最近では環境意識の高まりから、電気自動車を導入する家庭が増えています。
電気自動車を使用するには、充電設備が必要です。
しかしこれまでの充電設備(単相200V 20A)では容量が少なく、充電完了までに時間が掛かりすぎるのが課題でした。
そのため今回の改訂では、所要充電時間が短縮可能な「6kW充電設備」の施設方法が追加されたという経緯があります。
6kW充電設備であれば、8時間で48kWの充電が可能です。
これにより、40kWhを超える大容量車種でも家庭でスムーズに充電できるようになっています。
情報機器用コンセントの追加
最近では、スマホやタブレットといったモバイル情報機器が急速に普及しています。
さらにTV録音録画機器やネットワーク機器等の種類も増えていることで、小形電気機械器具の需要が高まっています。
こういった状況を受けて、住宅では多数の充電器が常時コンセントを占有しているケースも珍しくありません。
しかしタコ足配線で対応してしまうと、コンセントに負荷が掛かりすぎてしまいます。
これはコンセント数の不足が主な原因のため、改訂版では情報機器専用の分岐回路について個別に加算するよう追加されました。
具体的には、下表のように改訂されています。
住宅の広さ(㎥) | 計(望ましい分岐回路数) | 電灯用 | 台所用 | 台所用以外 |
---|---|---|---|---|
50(15坪)以下 | 4+α | 1 | 2 | 1 |
70(20坪)以下 | 5+α | 1 | 2 | 2 |
100(30坪)以下 | 6+α | 2 | 2 | 2 |
130(40坪)以下 | 8+α | 2 | 2 | 4 |
170(50坪)以下 | 10+α | 3 | 2 | 5 |
170(50坪)超過 | 11+α | 3 | 2 | 6 |
「計」欄の「α」の値は、厨房用大形機器、ルームエアコンディショナ、衣類乾燥機などの設置数により増加させる分岐回路数(200V分岐回路を含む)を示します。
情報機器による専用の分岐回路を施設する場合も、必要に応じαに加算することとされています。
望ましい分岐回路数は、住宅の面積に応じて異なります。
ご自宅の広さと照らし合わせて、適切な数を守るようにしましょう。
新築住宅でのコンセントの上手な計画方法
ここでは、新築住宅でのコンセントの上手な計画方法についてご紹介します。
毎日使うコンセントですが、意外と知らないポイントも多いです。
数や高さの基準を知っておくことで、使いやすい配線計画に生かしてみてください。
数|2畳に1か所
一般的には、「2畳に1か所」のコンセントがあると便利です。
もしコンセントの数が少ない場合、延長コードやタップを多用することになってしまいます。
これにより過負荷や火災のリスクが高まる危険性があるため、安全性を考慮してコンセントの数を適切に配置しましょう。
特に主要な電化製品が配置される場所には、十分な数のコンセントが必要となります。
キッチン、リビング、書斎といったスペースには、目安よりも多めに複数のコンセントを配置しておくと安心です。
高さ|床上25㎝
一般的なコンセントの高さは、「床上25㎝」です。
これは家具や電化製品の高さが考慮されており、使いやすさを考える上で適切な高さと言えます。
ただし、必ずしもすべての状況に最適とは言えません。
例えば冷蔵庫や洗濯機といった特定の家電用のコンセントは、100~180㎝程度の高さに設定されます。
大型家電は一度設置すると移動が難しいため、後からでも抜き差ししやすい高さに設置するのがおすすめです。
高齢者対応は40~45㎝
高齢の方が利用する場合には、コンセントの高さを床上40〜45㎝程度に設置することが推奨されます。
しゃがむことなくコンセントを使用できる高さに調整することで、身体的な制限があっても使いやすくなるのです。
ただし、高さの設定は個々のニーズや好みによって異なる場合があります。
そのため住宅の設計や改修を行う際には、それぞれの状態やライフスタイルを考慮し、最適なコンセントの高さを検討することが重要です。
種類|接地極付、USBも選べる
コンセントと言うと2口タイプのシンプルなタイプがイメージされやすいですが、最近では様々な種類が登場しています。
具体的には、下記のようなタイプが人気です。
- 接地極付コンセント:接地極(アース)が付いていることで安全性を高め、漏電の際にも安全性を保つ役割があります。キッチン等の水回りでは、接地極付が義務化されています。
- USBコンセント:直接USBケーブルを挿して充電することができるタイプです。スマホやタブレットなどのデジタル機器の充電に便利です。
- マルチコンセント: 1つのコンセントに、複数の差込口を持つタイプのコンセントです。TV配線用ポートやLANケーブルをまとめられるため、リビングにおすすめとなっています。
- タイマー付きコンセント:設定時間に合わせて、電源を自動的にオン・オフできるタイプです。省エネルギーやセキュリティの向上に役立ちます。
- 防水コンセント:屋外や水回りの場所に設置する防水コンセントです。雨や水しぶきなどの影響を受けても安全に使用できます。
コンセントの種類は、住宅や利用目的に応じて自由に選択できます。
建築やリフォームを行う際には、使用する電化製品や利用環境に合わせて最適なコンセントの種類を選びましょう。
まとめ
本記事では、内線規程の改訂内容やコンセント計画のポイントをご紹介してきました。コンセントの数や配置を適切に計画しておくことで、毎日の生活が快適になります。電気の安全にも関わる部分となるため、新築計画前にはぜひ参考にしてみてください。
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