これから暮らすなら、平屋の家でゆっくりと、外に広がる自然を楽しみながら過ごしたい…。そんな夢を描いている方にとって、中庭はなくてはならない存在です。
今回は中庭の魅力や間取りを決めるときに役立つ中庭のタイプ、中庭を使って家族が楽しめる満足度の高い週末の過ごし方、などまとめてご紹介します。
コラムのポイント
・中庭があることで、家族だけの室外空間を確保することができます。また、室内へ光を届けることができるだけでなく、通気性も向上します。
・中庭は、『コの字型』『ロの字型』『L字型』の3つのタイプの中から選ぶと良いでしょう。
・家族それぞれの中庭での過ごし方を形にしていくことで、お洒落に過ごすことのできる家づくりを進めることができます。
建築実例

中庭の魅力

植物がたくさん植えてあったり、子どものおもちゃがたくさん置いてあったり、家庭菜園を楽しんでいたり…。家の中だけでなく、庭もその家の暮らしを映し出します。

中庭はプライベート感が強い空間です。外から覗き込まれる心配がなく、好きなように過ごすことができます。
夏の暑い時期、庭で水遊びをするのは外からの視線が気になります。また、防犯面から見ても危険だと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、中庭であれば視線を気にすることなく、安全に配慮しながら過ごすことができます。
また、大切に育てた草花やシンボルツリーなども、家族だけのものとしてすぐ近くで大切に見守ることができます。

平屋は家の造り上、部屋の奥まで日の光を挿し込ませるのが難しい場合があります。家の高さ、窓の数が限られてくるからです。このような状況でも、中庭があることで部屋の奥まで光を届けることができます。部屋が中庭に隣接しているため、通常光が入りにくい北側の部屋でも自然光あふれる暮らしが実現します。太陽の光と共に生活することで、体内時計や体調を整え健康に過ごすことに繋がるためいいことばかりですね。

中庭に合せて窓を設置することで、家中に空気を行き渡らせることができ、通気性が良くなります。季節ごとに違う風の向きにも対応し、季節の移り変わりを楽しむことができます。
ジメジメとした梅雨の時期の空気の入れ替えにも最適ですが、冬の乾燥する時期にも空気の入れ替えを通して適度な湿度を保つことができます。通気性が悪いと、アレルギー症状が起こったり食品がすぐに傷んだりと生活していく上での悪影響もあります。通気性が良いことで、これらを未然に防ぐことができます。
中庭の形は3つの中から選ぶ

間取りを決めるときに中庭の形も決めていきます。この時、『コの字型』『ロの字型』『L字型』の3つの中から選ぶと良いでしょう。

家を真上から見た時に、カタカナのコの字のように見えるものを『コの字型』と呼んでいます。
この形の特徴は、中庭と隣接する部屋がそれぞれ角部屋となるということです。コの字型の中庭にすることで、それぞれの部屋でしっかりと採光ができ、部屋全体を明るくするというのが大きな特徴です。
コの字型にしたものの、思った以上に採光ができなかった、想定していたよりも全体的に暗い部屋になってしまった、居住スペースを縮小しなくてはならなくなった、という可能性を避けるためにも、中庭をコの字型にする場合は、建物の向きや家の角度など、いくつかの条件を確認しておきましょう。

中庭の四方を建物で囲み、家を真上から見た時にカタカナのロの字に見える中庭のことをロの字型といいます。
この形の特徴は、中庭の四方全てが家の壁に囲まれているということです。家中どの部屋からも中庭が見え、常に自然を身近に感じながら過ごすことができます。また、ロの字型は、中庭を中心として家の中をどこへでも行き来することができる、一筆書きで家中を留まることなく巡ることができる回遊動線を作ることができます。この回遊導線があることで、家は広く大きく、つながりのある空間に感じることができます。また部屋同士を簡単に行き来できるため、生活動線が短くなるというメリットもあります。
そして近隣の家との距離が近く採光が少し難しい、という環境であっても採光することができます。
暗く湿気のたまりやすい中庭になる可能性を避けるためにも、間取りを考える際は、採光を考慮して決めましょう。
また、排水面も整えておきましょう。大雨や自然災害などの時、中庭に水が溜まることでプール状態になってしまう危険性を避けるためにも、設計段階で排水菅を設置するなどの対策を行いましょう。

住宅をL字型にして中庭の2面を壁などで囲み、家を真上から見た時に、アルファベットのLの字に見える庭のことをL字型といいます。
この形の中庭は、建物の形がシンプルなので間取りのプランニングを柔軟にすることができます。そして、どの型の庭よりもしっかりとした採光をすることができます。
通常の庭に近い形なので、中庭の良さであるプライベート感はあまり感じないかもしれません。背の高い木を植えたり、目隠しになるような垣根を設置したりすることで、ある程度のプライベートを確保することができます。
建築実例

中庭がある週末の過ごし方
中庭があることで、家族の週末の過ごし方の幅は大きく広がります。
◼︎ 家族だけの水遊び!
夏のお楽しみ、水遊び。道路に面した庭だと周りの目が気になりますが、中庭であれば気にせず楽しむことができます。周りを壁に囲まれた空間なので、声の大きさにもそこまで配慮することもなく、のびのびと楽しめます。
◼︎ 緑を眺めながらアフタヌーンティー!
仕事を頑張ったご褒美は、中庭で過ごすアフタヌーンティーはいかがでしょうか。美味しいケーキを買ってきて、丁寧に紅茶やコーヒーを淹れ、中庭にチェアとテーブルを出せばそれだけでくつろぎの空間に変わります。カフェで過ごすようなひと時が、あっという間に完成します。
◼︎ お弁当を詰めてお昼ご飯!
遠くにおでかけをしなくても、ご飯をお弁当箱に詰めて中庭にシートを敷けばあっという間にピクニック気分が味わえます。お弁当作りも、お子様と一緒に楽しむことでよりワクワク感を育てることができます。
子どもと楽しみながら準備をすることで、食育にもつながり、豊かな感性も共に養うことにもつながります。
◼︎ 夫婦水入らず、ゆっくり晩酌を!
普段はゆっくりと会話する時間がない、一緒に出かけることがない、という場合には、中庭でゆっくりと晩酌はいかがでしょうか。綺麗な夜空を眺めながら、お互いのこと、家族のことを話す時間はかけがえのないものです。ちょっといいお酒を買って、簡単なおつまみを作って、人目に触れない大人だけの時間が実現します。
◼︎ 家庭菜園&食育の場に!
限られたスペースであれば、一から土地を耕し家庭菜園を楽しむことができます。自分たちで育てた野菜が食卓に並ぶ姿を見ることは、育てるという苦労をしたからこそ味わえる大きな喜びです。農薬などの心配もない、安心して口に入れることができる食べ物というのは大きな安心でもあります。
また、子どもたちにとっても野菜を育てる、お世話をする、土に触れる、育てたものを食べるという生きていく上で必要な営みを知ることができます。家庭で自然に行う食育となり、生きる力や感受性を養うことができます。
建築実例
中庭とともに幸せな家族との暮らしを
中庭には、たくさんの魅力があります。そして平屋は、どの部屋で過ごしていても、中庭をいつも身近に感じることができます。建てたばかりの時は大きな木や草花など何もなくても、月日が流れるとともに草木の成長を感じ、人間と庭が共に変化をする姿を追いかけるというのも、楽しみ方の一つとして取り入れることができます。
生活スタイルや理想にあった、中庭付きの平屋暮らしを形にしていきましょう。
平屋などの家づくりのご相談、これからの家づくりに向けての段取りなど、気になる点はいつでもお問い合わせお待ちしております!
